2019

2019

2019(A)
 油井にとって宇宙ステーションから見た地球や星々は、想像をはるかに超える美しさであった。「あの薄い窓を隔てた外側は死の世界なんですね。宇宙の闇はあまりに深く、そして、その死の世界に言葉にならないほど美しい地球はあるんです。とりわけ私にその感情を呼び起こさせたのは、地球を取り巻く大気の薄さでした。周囲は真っ暗な死の世界であるのに、地球は生物で満ち溢(あふ)れている。

2019(B)イ
 言葉は必ず、誰かから習っているのであって、その人だけのユニークな部分は、ほぼゼロなのです。使う言葉も、だいたい辞書に載っているような、決まった意味のものを使うことになっている。文法も、ほかの人がわかるように言わなければならないから、特に変わったところはない。語彙(ごい)も文法も、その人だけの独自なところは、まあ、ないのです誰でも言いそうなことばかり毎日言っているのに、なぜ、その人独自のユニークさが現れているのだろう。

2019(B)ロ
 自分が読みたい本を読む、これが私の読書の鉄則ですが、その際に、間口をできるだけ広くしておいたほうがいいとも思っています。本との出会いは、ある種、宝石を掘り出すようなものです。宝はどこに埋まっているかわかりません。いつもと違う道を歩いていて、石ころに蹴躓(けつまず)いて倒れたら、そこに宝が落ちていたなんてこともあるかもしれない。それゆえ、少しでも興味のある分野の本なら、当面の仕事や勉強に役立たなくても、まずは手に取ってみるくらいに「心を開いていること」が大切です。


2019(外国語)
 NHKという大組織の中にいても、私はその頃から孤独を楽しんでいた。他の女性たちはというと、誘い合ってお茶を飲んだりご飯を食べに行ったり……。(1)私はほとんど参加しなかった。つき合いが悪いと思われそうで、最初のうちは一緒に行っていたが、人の噂話ばかりで全く無駄な時間だと思えたからである。
 そのうちに、私がスタジオで何か書いていることに気づいたディレクターが、外部のライターに出していた仕事を、そんなに好きならやってみたらと回してくれたので、番組の台本書きの仕事も来るようになった。多少つき合いは悪かったかもしれないが、そんな私を認めてくれる人もいた。
 (2)普通の会社であっても空き時間の使いようで、一人の時間を確保することはできる。それが仕事への反省ややる気につながり、将来への夢を育ててくれる。
 現在の仕事に全力をそそぐのはもちろんだが、その中でも空き時間を一人で考えることに使っていると、必ず将来につながる。
 私の場合、ともかく物書きになりたいという夢があったので、空き時間はすすんでそのために使った。(3)それが他人の目に留まり、「夢のハーモニー」*のための詩や物語を書くことが出来、あれは誰の作品?と反響があると嬉しかった。それを続けているうちに、ある出版社から「面白いから本にしないか」という話が持ち込まれ、第一作が生まれたのだ。 (下重暁子『極上の孤独』)注 *著者がかつて関わった NHK のラジオ番組 いていること」が大切です。