阪大2020
阪大2020(A)
過去の多くの哲学者は、同時代の悲劇を目にするたびに、私たち人間の愚かさを告発し、そのような悲劇が2度と繰り返されないために、どのように私たちの愚かさを克服するべきかを考え、話し、書いてきました。人類はこれまでに高い授業料を払って、様々な失敗からの教訓を得ているのです。
過去の哲学者がどのような問いに向き合い、どのように考えたかを知ることは、とりもなおさず、私たち自身が、当時の人間と同じような愚かな過ちを再び繰り返すことのないよう、高い費用を払って得た教訓を学ばせてもらうという側面があります。
阪大2020(B)イ
「道聴塗説」という言葉があります。人から聞いたことを自分では理解しないで、そのまま他の人に伝えるということです。ある人の考えを聞き、なるほどその通りだと深く納得しても、他の人から違うことを聞けば、今度はそれを鵜呑みにして人に伝えるのです。
本を読むときも、著者の考えをそのまま無批判に受け入れ、その内容について自分では考えないで他の人に伝えるのでは本を読む意味はありません。
大切なことは、読書を通じて、自分のそれまで持っていた考えや生き方を振り返って吟味し、さらには、自分の生き方を見直すということです。 本をどう読むかは生き方そのものを表しますが、本の読み方が変われば、生き方も変わってきます。
阪大2020(B)ロ
歴史上の事実について書くのは傲慢なことだ。ペンを持つ人間は、既にすべてが終わっている特権的な場所から、実際には見ていないことを、まるで見てきたように書くのだから。
阪大2020外国語
(1)思考は「動かす」ことが必要です。動かすためには刺激がなければならない。自分ひとりの頭の中で考えを深めるのは難しいことです。多くの小中学校で、「いまから15分でこれこれの問題について考えてください」というように「考える時間」をつくったりしますが、たいていは最初の1分しか考えていません。(2)あとは全然違うことを考えています。思考が 行き詰まってしまう。そこで「対話」が必要になるのです。
(3)ある考えに対して、ちょっと違う考えをぶつけられれば、次の考えに進むことができます。矛盾をどうにかしようと思考を働かせられるのです。 (齋藤孝『読書する人だけがたどり着ける場所』)